−世界の盲導犬−
[その犬種と活躍]


[世界の盲導犬:-その多様な犬種-]

現在日本では、主にラブラドールレトリバーが盲導犬として普及しています。 その理由は、性格が大人しく温和で万人に受け入れられやすい外見であること、また人を誘導するため、ある程度の力がある中型犬であることなどの理由から採用されています。

レトリバー種が普及する以前の日本では、ジャーマン・シェパード・ドッグが採用されていました。これは日本に初めてドイツからやってきた盲導犬がシェパードであったことに始まり、当時シェパードは盲導犬としてのみ導入されただけでなく、警察犬として活躍していた犬種でもあります。

世界で活躍する盲導犬にはプードル(スタンダード)、フレンチブルドッグ、ダルメシアン、コリーなど我が国とはまた違った犬種が盲導犬として活躍しています。

犬を訓練するトレーニングメソッドを有したトレーナーおよび有識者独自の試みで、盲導犬として適性のある他の犬種も積極的に検討され、人をより安全に誘導する為の取組みが日々模索され、続けられています。

今回のポスターでは、日本ではまだ実働例はないものの、日本人にとって馴染み深い、日本最初の盲導犬ジャーマン・シェパード・ドッグにちなみ、世界で活躍する盲導犬の多様な犬種を是非知って頂きたいとのメッセージをこめ、ホワイト・スイス・シェパードドッグを起用いたしました。

(まめ知識)
レトリバー種の中からもカーリーコーテッド・レトリバー、フラットコーテットなど様々なレトリバーの仲間がいて、イエロー、ホワイト、ブラック、ブラウン、チョコレートなど毛の色がちがいます。

[世界の盲導犬の活躍: -非常時に発揮されたパートナーシップ-]

去る2001年、9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件で、全盲のユーザー(盲導犬使用者)を生還に導いた2頭の盲導犬がいたことを皆さんはご存知でしょうか?

当時、ニューヨークの高層ビル「世界貿易センター」で勤務していた、マイケル・ヒングソン氏(当時51歳)とそのパートナーの盲導犬ロゼール(メス)、そしてオマル・E・リベラ氏(当時43歳)のパートナーである盲導犬ソルティ(オス)の2頭です。

ビルにクラッシュした飛行機、漏れたジェット燃料の異臭や火災による黒煙、各フロアから聞こえる悲鳴、そして停電。この2頭の盲導犬ロゼールとソルティは、想定さえされなかった緊急事態のなかでも、臆することなくユーザーを非常階段へと誘導し、両氏は奇跡的に九死に一生を得る事が出来ました。

動物が本能的に持つ危険を察知する回避能力、人や機械よりはるかに優れた鋭敏な嗅覚と聴覚を有するといわれる犬という動物。混乱と危険の中でも、立派に勇気を示し、その能力が充分に発揮出来たのは、これまで時間をかけて培ってきたユーザーと盲導犬の確かな信頼関係があればこそだと考えられます。

目の不自由なユーザーと盲導犬の信頼関係の構築は、1頭と1人のユニットがともに生きる協力「共生関係」なくしては、まずありえません。

ユーザーと盲導犬は言葉ではない互いの友情関係により、支えあっています。「ともに生きる」ための共同訓練や日々の生活を通じて育まれたパートナーシップは、けっして一方的なもの「主と従」だけの関係ではない、「一心同体」であることを是非知っていただきたいと思います。


←前へ  次へ→
>>戻る